こんにちは、広島市の四技能型・英検対策の英語塾、スクール今西の今西一太と申します。
今回は講師の大越正浩先生に、英文読解に関する記事をご寄稿いただきました。以下、よろしければぜひご覧ください。
-----
こんにちは、講師の大越正浩と申します。
英文、特に長文をきちんと読解するためには、重要なのは何でしょうか。
単語(語彙)や語法の知識? 文法についての理解?
もちろんそれも必要です(と言うか、これらは基本的な必須スキルですね)。
しかし、これらのスキルだけで英文を「十分に」理解できるとは限りません。
たとえば、母語で書かれた文章であっても、よく知らない分野についてのものだとよく理解できない、ということは普通にありえます。
英検2級あたりにチャレンジしようとして、長文問題に取り上げられているのが何のことなのかよく理解できない、という経験をした人も結構いるはずです。
そういった場合に必要なのが「背景知識」なのですが、これを積み上げるにはそれなりの手間と時間がかかります。
しかし、英文の理解度を上げるために、他に(それも比較的手軽に)できることはいくつかあります。
英語では、数値を表現するのに数字ではなくhundredやthousandといった単語を並べる方法が広くとられています。
こういう形で表現された数値が出てきたとき、ひと目でその量的な多少を感じ取るのは、ノンネイティブにとって結構難易度の高い作業です。
たとえば「three hundred million」よりも「3億」と書かれている方が、どの程度の量なのか感覚的に把握しやすくありませんか。
また、単位の違いも理解に対するハードルになります。英国・米国ではいまだにヤード・ポンド法が広く使われており、そのままではピンとこないことがよくあります。
これも自分がよく知っている単位に換算してみましょう。
たとえば大谷翔平選手の球速は、あちらでは「100 mph(miles per hour)」と表現されますが、「時速161km」と書かれている方が、その凄さが響いてくるでしょう。
書かれている英語をそのまますんなりと理解できればそれに越したことはありません。しかし最初はなかなかうまくいかないはずです。
そういうときに、ひと手間をかけて自分がすんなり理解できる表現に変換するのが理解を深める有効な手段になります。
英文の中に地名が出てきたら、それがどのような場所にあるのか、地図で調べてみましょう。
日本でも、各地方や都市について人々が一般に持っている固有のイメージがありますが、これは世界のどこに行っても同じです。
たとえば米国であれば、各州それぞれが独特のカラーを持っています。
たとえば大統領選挙などのときには、民主党への支持が強くリベラルなイメージの強い「blue states」と、共和党支持で保守的な「red states」に分かれる様子が報道されるのを見ことがある人もいるでしょう。
都市でいえば、ボストンは名門大学が集まるアカデミックな都市、ヒューストンといえばNASAによる宇宙開発、デトロイトといえばかつて栄えた自動車産業の街、といった感じ。
それぞれの土地に対する詳しいイメージまではわからなくても、地理的にどのような位置にあるのかを把握しておくと、「理解の解像度」が上がることがあります。
文章を読んでいると、「自分が何を知らないのか」が見えてきます。その「知らないこと」を少しずつ知っていくのが「読解」という行為であり、そのための道筋は無数にあります。
単に何が書かれているかを読み解く作業を一歩進めて、もうひとつ深い理解をものにしていきましょう。