こんにちは、広島市の四技能型・英検対策の英語塾、スクール今西の今西一太と申します。
先日、同じ大学院の研究室出身の後輩、慶応義塾大学講師の平沢慎也先生と英語教育について有意義な議論ができましたので、平沢先生の許可を得て、ここで共有したいと思います。
最初は以下の平沢先生が出していた actually の用例、「Xだ。あ、いや、やっぱり(actually)Yだ。」について私が質問したことから始まりました。
平沢先生はこの例を用いて、
という旨の主張をしていました。
そこで気になって、
と聞いてみました。
「前置詞をイメージで覚える」という方法論は非常に人気があり、よく行われる指導法です。以下、いくつか参考サイトを上げておきます。
「前置詞をイメージで覚える」というアプローチはまさに「actuallyを『実は』で覚える」に近いアプローチで、覚えやすい最重要の「本質」だけを覚える、というアプローチです。
これについての意見は、予想通り、
といったものでした。
(ちなみにここまでの平沢先生のご意見、私はすべて賛成です)
なぜ上級者が前置詞をイメージで覚えることに害が大きいのか、詳細を述べるのは紙幅の関係で困難ですが、例えば平沢先生が『英語教育』の2021年7月号で「byは『までに』か?」というコラムをお書きになっています。そこでは、
という、
について分析をしています。
つまり、「by は『~までに』で覚えろ!」というアプローチでは自然な英語を身に着けることができないということです。
最初の最初、初心者の時点ではイメージをとらえることも重要かもしれませんが、少なくともレベルが上がるにつれて、実際の文脈の中でどう使われているかを見て、そのパターンを知識として蓄積していくことの方がはるかに重要性が高いです。
第二言語習得理論では口を酸っぱくして「大量のインプットが重要」と言いますが、その理由はまさにここにあります。
以上で述べたように、「前置詞をイメージで覚える」などのタイプの指導法はとても分かりやすく受けが良いのですが、このやり方ではどこかで間違いなく壁にぶち当たってしまい、不自然な表現を連発してなぜ不自然なのかがわからない、という学習者を作り出してしまう可能性が非常に高いです。
かといって、「とにかく用例に触れまくってすべて丸暗記しろ」という指導法もそれはそれで単なる丸投げですし、生徒に対する負担が非常に大きくなってしまいます。
そこで、その両者のバランスを取ることが重要になってきます。すなわち、
というアプローチです。
このことについては平沢先生が
という論文で、sit up and take notice という表現を例に述べています。もしご興味がある方がいらっしゃったら、以下のリンクからPDFでダウンロードできますので、ぜひご覧ください。
とりあえず今すぐに簡単にできることとして、
ことを提案したいと思います。
いろいろなご意見とブログ掲載許可をくださった平沢先生に感謝申し上げます m(_ _)m