こんにちは、広島市の四技能型・英検対策の英語塾、スクール今西の今西一太と申します。
このページにたどり着かれた方は「多読」に興味をお持ちの方が多いと思います。
辞書を引きながら難しいテキストをじっくり読む「精読」ではなく、辞書を引かずに簡単な本を大量に読むという「多読」。最近徐々に色々な教育機関で取り入れられつつあります。
そして、一般的に多読では多読3原則という原則が謳われ、「辞書は使わない」などの原則が主張されています。
そこで今回は、「多読で辞書を使うことの是非」に関する様々な意見を取り上げて説明し、それが妥当なのかどうか個人的な意見を述べてみようと思います。
画像:スクール今西の多読本の一部
『快読100万語ペーパーバックへの道』(酒井邦秀、ちくま学芸文庫、2002年)で発表された「多読3原則」では、多読は以下の3つの原則を守って行うべき、という主張がなされています。
辞書を使わず、よくわからなかった部分はどんどん飛ばし読みをして、それで本全体が難しくてよくわからなくなったらその本は止めておいて次の本に進む、という原則です。
このように、「多読では辞書を使うべきではない」という主張は非常に一般的で、例えば「多読3原則とは」というウェブページには以下の記述があります。
同様の記述は多読関係の記事に山ほどありますので割愛しますが、多読においては辞書を敵視する傾向が非常に強いです。
上にあるように、オリジナルの「多読3原則」では辞書を使わないことが強調されていますが、批判もやはり多かったようです。一番多い批判としては、「意味をよく理解しないままななめ読みをする生徒が多い」ということでした。
そこで、『多聴多読マガジン2013年12月号』で新しい多読3原則が提唱されました。それは以下の3つです。
この原則では、「辞書を使うかどうか」という表面的な点ではなく、「英語を英語のままで理解」「7-9割の理解度で」など、自分の理解度に応じた本を読むことが強調されています。辞書はできれば使わない方がよいと解釈もできますが、あからさまに「辞書を使ってはいけない」とは主張していません。
さらに進んで、多読においても辞書を使うべきという主張も見られます。
例えば『英語多読法』(古川昭夫、小学館101新書、2010年)には以下の記述があります。
このように、オリジナルの多読3原則で「使ってはダメ」と言われていた辞書ですが、今では様々な考え方があるということがお判りいただけたかと思います。
以上のような様々な意見がありますが、個人的には辞書を使わず大量に読むことだけを強調することには弊害も多いと思っています。
まず、
と感じています。
例えば、研究者が参照するような専門的な本を多読したことになっている中学生の多読の記録を見たことがあるのですが、内容のレベルと中学生という年齢から言って、本当に内容を理解できたのかどうか、少し疑問に思いました。
また、個人的な外国語学習の経験(英語、ドイツ語、中国語)から言っても、「辞書を使わずに多読」した場合よりも、「適宜辞書を参照しながら多読」したときの方が語彙力などの進歩を強く実感しています。
これは一度意味を理解した単語が繰り返し出てくることで、単語の正確な意味をはっきり記憶できるからではないかと思います。意味の理解があいまいなままだと、結局間違った解釈で覚えてしまう可能性があります。(これは日本語における難単語でも同じですね。)
何事もそうですが、極端な主張というのはやはり極端な結果を産みがちです。
そこで、
というのが、受験英語的な精読の良いところと多読の良いところを組み合わせた、最強の勉強法ではないか、と個人的には思っています。
以上を踏まえて、スクール今西での多読は以下のように指導しています。
さらに、
ということを重視しています。
この記事の個人的な主張をまとめると、
となります。最後までお読みいただき、ありがとうございました。