広島の英語塾、スクール今西英語学院の今西一太(いまにし・かずひろ)がお送りします。今回は自由英作文の能力を鍛える方法についてです。タイトルは「テクニック」となっていますが、考え方そのものを鍛える方法について書いていこうと思います。
英作文能力の向上には幾つか良い方法がありますが、一つに
という方法があります。
例えば私の以前の授業ではまず、ある命題について「賛成」「反対」の両方の意見を読ませました。 そしてそれを使ったスピーキングの練習をした後、生徒自身がどう思うかを聞きます。(行ったスピーキング練習も大事なのですが、これについてはまた後日書く機会があるかもしれません)
英作文の課題として、自分の意見とは逆の意見、つまり
文章を使って主張させました。
殆どの生徒は自分自身の意見についてしか文章を書いたことがありません。書いてもらった文章を見ても、かなり苦戦しただろうな、という跡が見てとれました。
なぜあえてこんなことをするのか。それはこの方法にはいくつかの利点があるからです。
説得力のある文章を書くコツの一つは、以下のテクニックです。
こうすると、自分に都合の良いデータや例を書くだけの議論より説得力が増します。
もし「核兵器は廃絶すべき」と思っているなら「核兵器は必要不可欠」という主張も(便宜上)出来るように訓練する必要があります。そうすることで、なぜ相手がそのような主張をするのか、主張の弱点はどこか、などを理解することが出来ます。
核兵器の話ならば、核抑止論を擁護するために色々考えていると、「そういえばテロリストが核兵器を使ったら抑止なんて関係ないよな…これは困った」という、核抑止論の弱点に気づくこともできるかもしれません。
ほとんどの人は、ある特定の意見を支持する際、深く考えずにその意見が正しいと思い込んでいます。
例えば「核兵器は廃絶すべき」という人の中には、
という主張しかできない人がいます。
このような主張は、自分と感情を共有している人には非常に強く響きます。
ためしに、自分が大嫌いな芸能人を想像してみて下さい。
その人のファンが
のような主張をしてきても絶対意見は変わりませんよね。
逆に
などのように言われたら、「なるほど、そういう側面もあるのか」と納得できる気がしませんか?
核兵器の話ならば、なぜそんな危なくてひどい兵器が今でも実際に大量に保有されているのか、なぜ第二次大戦で核兵器が使用されて以降大国同士での戦争が一切起こっていないのか、など、そこまで深く考えた上で廃絶の主張をしなければ、まず議論の俎上に立つことさえできません。
(念のため言っておきますがこれはあくまで例として挙げているだけで私の個人的な立場を示しているわけではありません)
二つの理由
により、あえて自分の意見と反対の意見を書くというトレーニングは説得力のある文章を書くのに非常に効果的です。
ご興味のある方は早速ある意見について賛成と反対の両方の主張を書く練習をしてください。
始めは日本語でも構いません。
このような題について、自分個人の意見はとりあえずおいておいて、両方の意見を書く練習をしてみましょう。