こんにちは、広島市の四技能型英語塾、スクール今西の今西一太です。
2014年9月14日、広島市内で行われた TOEFL iBT 教授法のワークショップ(Propell(R) Workshop for the TOEFL iBT(R) Test )に参加してきました。
写真はイメージです
TOEFL iBT の効果的な教授法から、スピーキングやライティングの採点基準、方法などについて、他では聞けない非常に興味深い話をたくさん聴くことができましたので、ここで特に面白かった部分を幾つかシェアしてみようと思います。
リーディングの教授法で「これは使える!」と思ったのが、KWL という方法です。この方法では、
(1) What I already Know about the topic before reading
(2) What I Want to know about the topic
(3) What I've Learned about the topic after reading
の三つを埋める作業を行いながら文章を読んで行きます。具体例として、Confucius (孔子)というタイトルの文章について、まず孔子について何を知っているかをまとめ、何が知りたいかを(もしくは、私の解釈では、何が書いてあるかを予想して)書き、それから読み始めます。全て読み終わった後、新しく学んだことを整理します。
これを行うことにより、「何に注目して読めばよいか」「何を学べたか」をしっかり意識して読むことができます。こういう事を意識するのは、前回のブログ記事「上手く行っている学習者の特徴」でも取り上げましたが、学習において非常に重要なことです。一人でこれが出来ない学習者にとっては非常に良いヘルプになると思います。(TOEFL学習者に限らず中学生レベルから十分使えそうです)
リスニングでは、ノート・テイキングの練習が役に立ちそうでした。どこでメモを取ればいいのか意識するための Signal words/phrases のリストが配られ、その後に来るものに注目する作業を行う課題の紹介が行われました。このリストは早速自分の生徒にシェアしようと思います。
これは意外でした。ただ、長い方が以下に書く Speaking Rubirics を満たせる可能性が高まるので、長くしゃべるに越したことはないそうです。
例えば Independent Task (自分の意見を言うタイプ)で重要なのは以下の点です。(上記にもリンクを貼りましたが、簡単に日本語で整理します)
・Delivery:ネイティブっぽくなくてもいいけどはっきりした発音か、ちょうどよいスピードか(速すぎたり遅すぎたりしないか)、黙ったりせず滑らかに話しているか、努力せずに聴いて理解できるか、など。
・Language Use:文法や語彙の使用は適切か、考え込まずに自動的に話している感じか、文で(できれば複雑な文構造で)話せているか、など。
・Topic Development:筋道が通って一貫した主張か、具体例や詳細の説明があるか(採点者が "Why?" と聞きたくなるようなものはアウト)、同じ主張を別の個所で繰り返したりしていないか、など。
これらが全て満たされていると最高スコアの4点がもらえます。
・スピーキング採点者は、採点する日は毎回 Daily Calibration Test と言って、その日にきちんとした採点が行える状態かどうかのテストを受け、不合格になるとその日は採点できない(上司のスコアと一致しているかを見る)。採点者は、採点の基準となる Benchmark(この解答なら~点、という、基準になる解答)を毎回言える必要がある。
・一人の受験者を採点するのは3人から6人の採点者。1つのタスクは1人しか見ない。
・採点者は録音を最大でも2回しか聴かない。それ以上聞きたくなるものはその時点で上記の Delivery が悪いと判定される。採点者は受験者に寄り添う必要はない。
意味が通じればよし、意味が通じなければ問題ありと判断されるそうです。スピーキングのフィードバックで細かいミスを指摘するのは、生徒を委縮させるだけで百害あって一利なしとわかりました。
画像はイメージです
採点者は常にRubirics(採点基準)を参照しながら採点し、これに関係ない点は評価に関係ない。
Integrated Task (文章を読んでから講義を聴き、それについて書くもの)の場合、リスニングする講義の中に含まれていることが書けているかが重要。文章に書いてあることだけが書けていてもプラスにならない。(厳しい!)講師の方はリスニングの方が重要、と断言していました。
これもびっくりしました。全部小文字でもOKらしいです。採点者は good first draft を期待しているだけなので、最終的な原稿を完成させる必要はないとのこと。一番大事なのは、講義で出てきた内容がきちんと理解できているか(Integrated)、もしくは自分の主張をきちんとサポートし、首尾一貫した議論が出来ているか(Independent)。
ライティングの指示分には 150-225 words とか 300 words と書いてありますが、これも単なる目安なので、これから外れていても減点対象には一切ならない。このぐらい書くと採点基準を満たせる可能性があがるよ、という程度。(別の人からの又聞きですが、1600語を書いて満点をもらった人もいるそうです)
・ワークショップ参加者は大学の先生が多い。でもその中で実際にTOEFLをバリバリ教えている人は少ない印象。少なくとも私が話をした中では。TOEFLをまともに受験できるレベルの学生がほとんどいないことが原因と思われる。
・参加者は九州から岡山あたりの人が多く、英語レベルは非常に高い(全員スムーズに英語を聴いて話して議論することが出来ていました)。
・セミナー講師の方々は学問的なことに関してあまり興味がなさそうな印象。これはひょっとするとTOEFL対策に集中する為にわざとそういうスタンスを取っていたのかもしれません。cell membrane (細胞膜)とか photosynthesis (光合成)とかよくわかんないよね~、それでもテストは解けるから大丈夫だよ~、という感じでした。
・IELTS(TOEFLに並ぶ国際的英語テスト)のスピーキングは面接で行う。面接官は、日本で行うテストの場合は日本の在住経験が長い人が多いから、日本人英語でも通じやすい。TOEFLではそういうことは一切ない。また、IELTSは面接テストなので、受験者の外見や表情、におい(特にこれが大事!)などの好印象、悪印象がどう頑張ってもスコアに影響してしまうと試験官が言っていた、とのこと。
さて、以上ざっくりとですがまとめてみました。非常に役に立つ話が一杯聴けた有意義な一日でした。後はこれを自分のカリキュラムに少しずつ組み込んで行こうと思います。
惜しむらくは、他の先生も言っていましたが、TOEFLをまともに受験できるレベルの学生がほとんといないことですかね…。しかし、私の見立てでは、語学の適性がある程度ある人なら中学生の時点からきちんとバランスよく教えて行けば高校を出るころにはTOEFLを受験できるレベルに達せるはずです(全員を到達させるのは無理ですが)。