こんにちは、広島市の四技能型・英検対策の英語塾、スクール今西の今西一太と申します。
先日英語の発音に関する面白い話を聞きましたので、それを共有するとともに私の個人的な意見を書いてみようと思います。
先日、ある生徒に英語の発音をどうやって習ったかを聞いてみると、先生(学校?)の指導方針として、
という方針を取っている方がいらっしゃったようです。「なるほど、そういう考え方もあるのかぁ」と驚きました。
私もまた聞きをしただけなので、本当にこの通りの方針ですべてやっているのかは不明です。「発音記号をやらない」というだけかもしれません。
真偽のほどは不明ですが、仮にこのような指導方法が実際にあるとして、「大学受験に向けた英語に全振りして無駄なことを省く」というこの方針、どうでしょうか。
「発音を教えずに読解を学ぶ」という学習法で思い出されるのが、漢文の学習です。
漢文というのは古代中国語について、
だと認識しています。
例えば
というのは本当なら古代中国語の発音があったはずなのですが(現代北京語なら「ウー シーヨウウー アル チーユーシュエ」などと読む)、それを一切無視して
と読む、という特殊な外国語の学習をします。
これはまさに
という学習法ですよね。
昔の日本であればこの中国語学習法で全く問題なかったのではないかと思います。(中国に留学するようなエリートはまた別でしたでしょうが)
ちなみに明治時代の英語学習でも
など、発音を全く無視して内容理解だけを求めるような英語学習が行われていたこともあったようです。
このような学習を行ってイギリスに留学をした人が英語が全く通じず、寮に引きこもってうつ状態になってしまったという有名な話があります。ちなみにその寮の管理人のおばさんが、その学生が英語が全く話せないのに洋書をすらすら読んでいる様子を見て驚いたのだとか。
さてこの節は個人的な意見です。この漢文式外国語学習、一般的な外国語指導の観点からいうと、当たり前ですが絶対にやめた方が良いです。
「話す・聞く」を完全に無視しているという点で「語学として英語を学習する」という観点からすると問題外なのですが、「大学受験対策としての英語」という観点からしても、少なくとも大きく2つの問題があると思います。
まず、発音とスペルの関係性の理解が進まず、スペルミスが増える可能性があります。実際にこのような指導方法で英語を学習した方の中には
など、スペルを覚えることに苦労が生じているケースが出てきたりしています。
ch が「チ」の音と結びついている、ということを自分で発見して習得できる生徒はいいですが、そうではない生徒の場合、これだけでかなりハンデを背負ってしまいます。
さらに大きな問題として、大学入試に絞って考えたとしてもリスニングの試験が入ってくることが挙げられます。
リスニングの際にも th や -er の発音の特徴を知っていると知っていないでは聞き取りやすさが間違いなく異なります。
こちらも感覚的に発音をつかんでしまうセンスの良い生徒なら問題ないですが、そうではない場合リスニングで相当苦労してしまうことは容易に想像がつきます。
結論としては、
ということです。
上で明治時代の話をしましたが、時代の流れとして、
傾向が最近は特に顕著です。
発音問題が無くなったからと言ってこの流れがなくなるわけではありません。大学入試としての英語しか視野に入っていないとしても、英語の発音学習は絶対にやっておいた方が良いと思います。