こんにちは!広島の四技能型英語塾、スクール今西英語学院の今西一太と申します。
●センター試験
試験時間80分
解答数54問
配点200点
●共通テスト
・CEFRのレベルB1<英検2級~準1級レベル>の問題が総得点の6割を占める
試験時間80分
解答数43問
配点100点
★相違点
・発音・文法問題がなくなり、すべて読解問題
・総単語数が約4200語から約5400語に増加
・答えを複数選ぶ問題が出題される
参考したこのテキストでも繰り返し述べられているが、『文法・語法問題がなくなった』→『文法・語法対策はいらなくなった』ではなく、むしろ『文法・語法』を身に着けていることを前提として、その上でそれらを使って正確な読解力、読解スピード、思考力等が求められている
(例) 問1 Meg wants you to tell John ( )
のような設問で選択肢が4つ用意されている。本文はMegがyouに送ったメール文。
ここでは、youとto tellの間にSとVの関係があり、Megではなく、youがJohnに伝える内容ということが理解できているか、つまり5文型の仕組みがわかっているかを聞いている。リスニングでも同様な問題が見られた。ちなみに、本文では
Do you mind asking you to inform John of the event ・・・?
のように重複表現を明らかに避けており、mind asking→wants、inform→tellの言い換えが理解できているかを聞いている。同時にmindの用法の理解も必要になってくる。
実際解いていると、途中からだんだん飽きてくる。同じような問題がずっと続くのでTOEICのReadingを解いているときの感覚。ただし、これはすべての英文を1回で理解でき、設問もそれほど迷うこともなくサクサク解いていても抱く感想。ということは、読むスピードももっと遅い、理解力・判断力ももっと低い高校生がこれをやると、疲労感や集中力が持たなくなることは容易に予想される。その上でセンター試験よりも総単語数が増えているので、『飛ばし読み』『流し読み』『キーセンテンスだけ読む!』といった『速読用テキスト』が横行しそうな気がする。
ただし、この参考したテキストにもあるが、文法・語法は正確に身に着けていることを前提しており、その上で総単語数が増えた理由を考えると、『読むのが速い人はなぜ速いのか』逆に『遅い人はなぜ遅いのか』を高校生に改めて考えてもらおうという出題者側のメッセージとも受け取れる。
つまり、文法が不十分で、知ってる単語だけから理解しようとしても結局は『なんとなく』しか理解できない。なんとなくしか理解できないから、特にあやふやなところは2回3回繰り返し読み返すことになる。これが読むスピードを遅くする原因であり、結果として『飛ばし読み』のようなやり方に手を出そうとする人が増える、それがさらにこうしたテキストの横行を助長する、という負の流れを生み出すと思われる。
ただ、一方で英語の講師であれば、それほど慌てることなくのんびり解いても余裕で最後まで解き切ることができる。『すこしでも速く読まないと』などと言うことは思ってもいない。
ではなぜそれが可能か。それはやはり『一度読めばわかる』というのが最も大きい。文構造だって勝手に見えてくる。いちいち『ここに関係代名詞があって、ここまでがSで・・』などとする必要もない。だから速く読める、解けるというだけのこと。
ということは、今後は生徒にこの状態を目指すことを目標にしてもらえばいいのではないか。となると、どのような指導をしていけばいいかも、ある程度見えてくる気がする。{下の<まとめ>}
物理のテストなども、従来の『床の上に台車があり、その上に質量mのおもりがのっていて・・・』のような非現実的問題から、『ブランコの原理』『カーブで事故を起こさないためには時速何キロでカーブに突入する必要があるか』のような身近な現象を考えさせる問題が増えてきている。
英語においては、『高校生複数による談話』『料理レシピ』『送別会の案内状』のように、今後いくらでも接する機会のありそうな英文になっている。そういった点では自分とは無縁の世界の英文を読まされるよりは臨場感もあったりで、親しみは持ちやすそう。ただ、一方で調理関係の用語、ビジネス系の用語が頻出するため、語彙力が今まで以上に多岐に渡るものが必要となりそう。
これまで以上に、文法の理解がそのまま『読解力・読解スピードの向上』につながっていくことを見せる工夫が必要な気がする。今目の前で解いている文法問題はこの問題を解けるためにやっているのではなく、これらの集合体が結局は読解、リスニング、ライティング、スピーキングという英語力全体の底上げになっている、ということを実感できるようにしないと、おそらく『文法軽視』の流れがどこからともなく生まれてきて、それに便乗する生徒が増えてくるだろう。
たとえば、少し短めの2、3文でできている英語の内容を一度だけ読んでどれだけ理解できているか、また仮にそれを30秒で読むとして、30秒以内で読めなかったとしたら、その原因は何か。こうしたことを生徒にしてもらい、その原因を考えてもらう。そうするとおそらく、『ここの文構造がちょっと・・』や『この単語の意味が・・・』といった答えが返ってくることが予想される。ということは結局『今自分が原因と思ったことこそが自分が克服すべきところだよね』というよに、生徒にも文法や語彙の重要性が伝わるのではないか。