こんにちは、広島市の四技能型・英検対策の英語塾、スクール今西の今西一太と申します。今回のブログ記事は講師の大越先生にご寄稿いただきました。
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英語の学習で「覚える」ものといえば、まず「単語」が浮かぶと思います。
「語彙力の強化」は、英語を学習する人のほぼ全員が挙げる課題です。語彙力強化についての教材は無数に出ていますし、ネットをちょっと検索すれば「こうすれば覚えられる」「こうやって覚えよう」的な記事がたくさん見つかります。
しかし、どういう状態になれば、「単語を覚えた」といえるのでしょうか。
目指すべき状態、つまり「ゴール」がどこにあるのかを知らずに闇雲に努力しても、本当に必要な語彙力は身につきません。まず、単語を覚えるのは「何のため」なのかをはっきりさせておきましょう。
英語のスキルは「読む・書く・聞く・話す」といういわゆる「四技能」に分けられますが、技能によって必要となる「語彙力」は異なってきます。
「書く/話す」というアウトプット系の技能では、自分が知っている単語を使って文を組み立てるので、主導権は自分自身にあります。ある程度の語彙力があれば、とりあえず手持ちの語彙だけで何とかできなくもありません。
しかし「読む/聞く」というインプットの場合は、出てくる語彙を自分がコントロールできるものではないため、まずそこに出てくる単語を知っておかなければ、書かれている/話されている内容を理解できません。
したがって「書かれている/話されている英文の内容が理解できる」ように単語を覚えることが、まず最初に目指すべき状態となります。当たり前のように聞こえますが、まずやるべきなのは「その単語の『意味』を『確実に』頭に入れる」ことなのです。
語彙力を考えるとき、「何個の単語を覚えているか」というのは重要な指標になります。覚えている単語の数が増えるほど、より高いレベルの英文が理解できるようになってくるのは確かです。
しかし、単に「覚えている単語の数」という「広さ」だけを追い求めていると、いずれ壁にぶつかります。
学校などでの単語の小テストでは、ある英単語の意味を1つ正しく回答できれば正解となります。単語を覚えるときによく使われる「単語帳」の多くは、英単語とその意味を対にした形で列挙してあり、書かれている意味のうちの1つを回答できれば「正解」とされることがほとんどでしょう。
しかし、英単語とその意味は必ずしも1対1で対応しているものではありません。
むしろ、高校(英検2級)レベルまでの単語であれば、複数の意味を持つ「多義語」の方が普通です。単語帳にはせいぜい1単語あたり2~3個の意味しか載っていませんが、実際にはそこに書かれていないものの結構な頻度で使われる意味がいくつもあったりします。また、複数の品詞として使われるものや派生語・熟語など、1つの単語には知っておくべき事項が多数連なっています。
ひとつの単語に連なるこういった事項についての知識を「深く」していくことが、語彙力の強化には絶対に必要です。
では、「まずはインプットに対応できるようにする」「『広さ』だけでなく『深さ』も追求する」ために、どのような学習方法が効果的なのでしょうか。
この方法だけで全部をカバーできる訳ではありませんが、オススメなのは「例文で覚える」やり方です。単純に「単語」と「その意味」の1対1で暗記していくのではなく、どういう意味の文でどのように使われているかを確認しながら覚えていきましょう。例文のシチュエーションをイメージすることで、「どのような場面で、どのような意味を示すために使われるのか」を具体的な形で頭にいれることができます。
この方法による学習には、成句などのフレーズだけでなく、ひとつの完全な文になっている例文が提供されている教材が必要です。単語帳であれば英検各級の「文で覚える単熟語」、「速読英単語」シリーズ、「ターゲット」シリーズ、「ユメタン」シリーズなどで「完全な英文になっている例文」が提供されています。
もうひとつ、間違いなく効果があるのが「辞書の活用」です。
英文を読んでいて、わからない単語が出てきたら即座に辞書を引きましょう。語義が複数あればできる限りそれらに目を通し、例文もチェックしておきましょう。これをやることで単語に対する知識の「深さ」が確実に深まります。
特に英検準2~2級レベルの単語の場合、辞書を読み込んだ量に比例して力がついていくことは保証します。
語彙力の強化には、即効性のある方法は存在しません。毎日コツコツ繰り返していく以外はその場しのぎのゴマカシにしかならないのが現実です。
しかし反対に、コツコツと積み重ねたことがきちんと報われるのが語彙強化でもあります。
たゆまずしっかりと続けていきましょう。